つばを飲む、食事をする、話す、呼吸をする。お口の中は、様々な動作に合わせて動いています。どんなに密着する入れ歯を作ったとしても、あごの動きにかみ合わせがが調和していなければ、お口の中で入れ歯がずれ、「かむと痛い」「外れる」「壊れる」「上手に喋れない」などの弊害が出てきてしまいます。
部分入れ歯のバネは、今までは金属(歯科材料)で作るものが主流で、審美的にはあまり良くありませんでした。 白いバネの入れ歯(ホワイトクラスプ入れ歯)は、バネ部分がアセタル樹脂という熱可塑性レジン(歯科用プラスチック)で作られています。
一般的に部分入れ歯 に使われる金属のバネです。今までは、お口の中の詰め物や被せ物を白いものに変えても、最後に部分入れ歯を入れると、金属のバネが見えて、審美的に満足のいかない場合が多くありました。
部分入れ歯から総入れ歯まで、基本的にどんな入れ歯でも保険で作ることが可能です。部分入れ歯の場合は、「クラスプ」と呼ばれる金具(バネ)を、残っている歯の部分に巻き付けるようにして取り付けます。
針金のようなクラスプは、一つの入れ歯に2~4本あり、入れ歯が浮き上がって外れないよう固定するのが普通です。費用は、部分入れ歯の場合、5,000~14,000円程度。総入れ歯の場合、10,000~15,000円程度です。(いずれも概算、3割負担での支払い金、個数1の場合)
保険内の入れ歯は、審美性や耐久性よりもコスト意識。そのため様々な入れ歯の中でも最もシンプル。また、保険で入れ歯を作った場合、一度作ると6ヶ月経過しないと病院を変えたとしても次の入れ歯の作り直しはできないいわゆる「6ヶ月ルール」が存在します。
厚生労働省が実施した、「平成17年歯科疾患実態調査」によると、30~34歳の0.8%が、「部分入れ歯」として初めての入れ歯を装着しているようです。「総入れ歯」は、40~44歳で0.4%の人が使い始めています。その後年齢とともに入れ歯の使用率は次第に増え、85歳以上になると63.9%の人が総入れ歯となっているのが現状です。
ちなみに80歳で20本以上の自分の歯を持っている人は推定値で24.1%。平成5年の調査時は10.9%であったため、この間12年で約2倍以上の人が8020を達成したことになっています。
入れ歯は、歯のない部分に新しい歯を生み出す治療法(根管治療)。虫歯治療よりもさらに職人芸的な要素が高くなります。価格が高いか安いかではなく、作る側の技術がとても重要なのです。もし作る側の技術がしっかりしていなければ、どちらを作っても同じ結果となってしまうでしょう。
しかし作り手がしっかりとした知識と技術があると話は別。コスト重視の入れ歯では、分かっているけど作れない、やりたくても出来ないといった部分も出てくるのが普通。しかしそういった部分をしっかり作ることでそれまでと違った入れ歯になったりするのです。