歯を失う2大原因は、虫歯と歯周病で、その割合は同じくらいです。一般的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、比較的若いうちは虫歯で失われる場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。喪失に至るリスクの高い歯は、未処置歯の虫歯、クラウン(冠)装着されている歯、部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)、歯周疾患が進行している歯、などです。超音波スケーラーで清潔を守ることは大事です。
歯の喪失を防ぐためには、どのような原因で歯が失われていくかを知る必要があります。ここでは、抜歯直前の状態に関する調査や追跡調査から得られた主な疫学的知見を紹介します。
私たちの生命活動は、言うまでもなく食べることによって支えられています。食べるために無くてはならない器官が“歯”。ところが、歯の寿命は、長くなった平均寿命に追いついていません。では、歯を失う2大原因は?…それは歯周病とむし歯。なかでも歯周病は、糖尿病や心臓病と同じ仲間の生活習慣病に位置づけられています。歯科x線はよく役に立ちます。
では、私たち日本人が歯周病にかかっている率を調べてみました。年齢でみると、歯ぐきに炎症がみられる人のピークは45〜54歳で、実に88.44%に及びます。高齢者の数値が減少しているのは、すでに歯周病などで失った歯の数が多いためです。また、注目したいのは若年層の歯ぐき。5〜14歳の36.51%、15〜24歳の66.17%の歯ぐきに炎症がみられるのです。このことは、歯周病は決して中高年層の病気ではなく、若いうちからの予防が大切であることを物語っています。
むし歯とは、このバランスが崩れ脱灰の方に傾いた結果できます。 予防とはそのバランスを再石灰化の方に傾けるように改善していくことです。そのバランスをとる為には、原因菌(ミュータンス連鎖球菌やラクトバチラス菌)やリスク因子がどうなっているかを調べる必要があります。
唾液検査をしてミュータンス連鎖球菌やラクトバチラス菌が多いか少ないか、唾液量や緩衝能(酸を中和する能力)も調べます。歯みがきの状態やフッ素の利用状況、また食生活のアンケート調査をして、生活習慣でのリスク因子を調べます。
歯周病
口の中を不潔な状態にしておくと、歯垢や歯石が溜まっていき、そこで細菌が増殖してしまう。 さらに、細菌はその毒素で歯肉に炎症を起こし、同時に歯槽骨を溶かしていく。
この状態を放置しておくと次第に歯を支えている骨が無くなってしまい、歯がぐらぐらし始める。 歯周ポケットが深くなると益々その内部の清掃が困難になって、細菌にとっては都合が良い環境となってしまう。
最終的には下図のような過程を経て、歯は抜け落ちてしまう。痛みはほとんど感じないので、 いつの間にか大変なことになっているところが怖い部分である。 糖尿病などの生活習慣病を悪化させることもあるという報告もなされている。