多くの自閉症の幼児期には、身体に触れられることを嫌ったり、未知な事への不安から、採血や歯科x線などの医療行為を頑固に拒否することがあります。そのなかのひとつに、日常的な歯磨き介助を嫌がったり、歯科健診,歯科材料に強く抵抗するケースがあります。歯磨きなどは、この時期の療育の種々の問題の中では小さなことに思えますが、そのまま放置してしまうと、後々大きな問題となってくることがあります。
自閉症は、中枢神経系の微細な機能・器質的な障がいが原因となる、知覚・認知障がいによる発達障がいです。このような傾向をもつ症候群を、一般に自閉症と呼びます。知的能力と知覚の発達がアンバランスで、知能指数と関係なく生じる傾向にあります。
特徴としては、対人関係やコミュニケーションの面での困難が多いこと、かつ、興味・関心の対象が限られていることから、パターン化された行動をとるといったことがあげられます。自閉症の範囲には、高機能自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障がい(AD/HD)、学習障がい(LD)なども含まれます。
普段でも、どうしようも無い時(かなり高い熱とか、下痢、吐き気)以外は、滅多に病院に連れていっていませんでした。歯医者は音も怖いし、何されるか分からないので、普通の大人でも歯医者行くの嫌ですよね・・・
でも、痛みが出る前にマリオを歯医者に連れて行かなければ・・・と思っていました。実は私、結婚する前に歯科医院に務めていました。だから歯の知識は少しありました。虫歯がひどくなって神経までいってしまったら、どういう治療をするか・・・などなど・だからこそ、虫歯が小さい時に、ちょっと削って、ちょっと詰めて、お・わ・り の時に連れて行きたかったのです。自閉症スペクトラムの人は周囲が理解できないような突飛な行動をしたり、周囲が困る行動をする場合があります。
表面に現れた行動の背景には、「相手の話が理解できない」、「なにをされるのか分らない」、「過去に歯科治療で怖い経験をしたことがある」、「何をするのか、いつ終わるのか見通しがたたない」などの思いがあり、その気持ちを相手に伝えることができない、特定の感覚刺激に苦痛を覚えるなどの自閉症の特性から、奇矯な行動を起していることを理解する必要があります。 自閉症スペクトラムの方の中には、痛みと口の中の問題を結びつけて認識できない方が多く、また周囲に言葉で痛みを伝えることもできません。
食欲がなくなったり、食事のときに顎や頭を叩いたり、手を噛んだりする行動がきっかけとなり、むし歯や歯周病が発見されることがあります。言葉によるコミュニケーションに障害がある場合は、「いたい」、「は(歯)」、「くち」、「くちびる」「いいきもち」「かりかり」「じぇっとき(タービン)」「そうじき(バキューム)」「は(歯)のなかのおそうじ」などの「絵カード」や「術式ボード」、写真や文字など、患者さんの特性に合わせたコミュニケーションシステムを発見し、訴えを拾うことが必要になります。